研究課題/領域番号 |
22591784
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
守屋 仁彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20374233)
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研究分担者 |
野々村 克也 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60113750)
田中 博 北海道大学, 大学病院, 講師 (60344470)
三井 貴彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (90421966)
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キーワード | 尿道下裂 / 精巣容積 / エコー |
研究概要 |
【1目的】これまで尿道下裂症例の幼少期の性腺機能検査には、侵襲的な検査が必要であった。近年の診断機器の進歩は幼小児の性腺サイズを容易かつ正確に測定することが可能となっている。性腺機能はそのサイズに反映されると考えられ、非侵襲的な画像診断により尿道下裂症例における性腺機能を容易に測定できる可能性がある。今回の検討では、尿道下裂症例にエコーを用いた性腺サイズの測定を行いその重症度と性腺容積の関係を検討した。 【対象・方法】2010年4月以降に尿道下裂の術前に精巣サイズをエコーで測定した19例のうち、停留精巣を伴っていなかった17例を対象とし、尿道下裂の程度と性腺容積の関係を検討した。性腺サイズは超音波検査にておこない、統計学的検定はMann-Whitney U testで行った。 【結果】尿道下裂の重症度は近位型10例・遠位型7例で、超音波検査施行時年齢は7.2ヶ月から16か月(平均10か月)であり、総性腺容積は0.44から1.25ml(平均0,83±0.25ml)であった。近位型と遠位型を比較してみると、総性腺容積は近位型:平均0.75±0.26m1・遠位型:平均0.95±0.22m1であり、遠位型で容量が大きかったものの有意な差は見られなかった。いずれのエコー所見においても性腺内微小石灰化を認めた症例はなかった。 【結論】症例数が少なく統計学的有意差は見られなかったが、近位型尿道下裂症例では遠位型尿道下裂症例に比べて精巣容積は小さく、近位型尿道下裂においては遠位型と比べて性腺機能異常が強い可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで研究により、思春期における内分泌環境を明らかにすることができており、先天的な精巣容積と尿道下裂の重症度との関係も明らかになってきた。現在行われている術式の問題点の評価やその改良点の検討、精子形成能の予測因子はもう少し時間がかかると予想されるがおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
術式の問題点とその改良については現在進行中であり、今後も継続してゆく。 精子形成能については、内分泌学的評価及び性腺の形態学的評価を施行しており、徐々に症例が蓄積されている。 今後、症例のさらなる蓄積とその解析を行う予定である。
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