本研究の目的は間質性膀胱炎の診断及び治療のモニタリングに有効な方法として期待されるNFκB-activated transgene systemを導入した尿路上皮細胞を確立し、モニタリングの有効性を確認することである。 そのための最初のステップとして間質性膀胱炎の動物モデルを確立することを目標に研究を進めている。 1)急性炎症モデル:急性膀胱炎のモデルとして膀胱内に塩酸を注入し、一定時間貯留後に排出。その後の排尿状態の変化、膀胱壁の組織学的な変化に関して検討を行った。 膀胱機能の変化としては一回排尿量の減少と排尿回数の増加を認め、組織学的に膀胱壁の粘膜の脱落、浮腫、出血、炎症細胞の浸潤などの所見が得られた。 2)慢性炎症モデル:上記の実験により作成したモデルでは膀胱そのものに強い組織破壊を伴う炎症が発生するが、間質性膀胱炎は慢性的経過をとり、強い膀胱痛を伴うものの組織学的所見はさほど強くはない特徴がある。現在より間質性膀胱炎の臨床像に近いモデルを確立すべく直腸内にtrinitorobenzensuIfonic acid (TNBS)投与することで誘発する頻尿モデルを作成中である。直腸内への化学刺激により神経因性の炎症が膀胱において惹起され、頻尿が数ヶ月間持続することが報告されている。今後排尿状態の変化や組織学的な変化を経時的に検討してモデルとしての有効性を確認する予定である。
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