研究課題/領域番号 |
22591785
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 博 北海道大学, 大学病院, 講師 (60344470)
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研究分担者 |
野々村 克也 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60113750)
三井 貴彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (90421966)
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キーワード | 間質性膀胱炎 / NF-kB / バイオマーカー |
研究概要 |
本研究の目的は間質性膀胱炎の診断及び治療のモニタリングに有効な方法として期待されるNFκB-activated transgene systemを導入した尿路上皮細胞を確立し、モニタリングの有効性を確認することである。 ICの発症機序に関して過去多数の検討がなされているが、IC発症の第一段階は細菌感染その他何らかの原因による膀胱上皮の障害が起こり、障害された尿路上皮が産生するAchなどの神経伝達物質やStem cell factor(SCF)は尿路上皮下のマスト細胞の活性化を介してヒスタミンなどの炎症性メデイエーターの放出とインターロイキン6やTNF-αなどの炎症性サイトカインの産生を促す。これらの物質は膀胱知覚神経を介した疹痛の発生を起こし、さらに膀胱知覚神経の過剰な興奮は神経因性炎症作用により局所の炎症を促進するとともに、マスト細胞の活性化を増強させ、さらなる知覚神経の過敏状態を尤進させ(神経/免疫相互作用)、ICの病態は固定・進行すると考えている。 今年度は、IC患者への書面による同意書を得た後に尿を採取し、同様に間質性膀胱炎をはじめとする下部尿路疾患を有さない健常者の尿を、年齢、性別をマッチする群から採取し、先に作製したNATシステムを導入された培養尿路上皮細胞に加えてNF-kB活性の変化を定量的に、紫外線照射によるGFPの蛍光、またはルシフェリン添加による発光を利用して、イメージング装置を用いて観察した。 また、IC患者の治療前後の自覚的賞状(疹痛レベルおよび排尿回数)とNF-kB活性の変化を比較検討し、このシステム診断システムが治療効果判定においても有効であるかを評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回女性IC患者の尿を用いてICに伴いどのような炎症性サイトカインが増加するのか年齢を一致させた健常女性を比較対象として検討した。結果、IC患者の尿中においてIL-6およびIL-8が有意に増加していたが、IL-1b、IFN、TNFに関しては健常者と変化がないことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
上記のIC発症の病態モデルとして、直腸内にtrinitorobenzensulfonic acid(TNBS)投与することで膀胱壁を損傷することなく頻尿となるモデルを作成し、頻尿となる原因を解明すべく、膀胱におけるサイトカインとNFκBの経時的変化、マスト細胞の活性化の状況を検討する予定である。
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