研究課題/領域番号 |
22591788
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
出口 隆 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (40163935)
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研究分担者 |
安田 満 岐阜大学, 医学系研究科, 助教 (90311703)
中根 慶太 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (00566482)
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キーワード | 性感染症 / アジスロマイシン / 薬剤耐性 / 23SrRNA |
研究概要 |
平成23年度は、平成23年度に収集した淋菌臨床分離株の内、100株の再同定とこれら菌株に対するセフェキシム(CFIX)、セフトリアキソン(CTRX)、レボフロキサシン(LVFX)、アジスロマイシン(AZM)の発育阻止濃度(MIC)を測定した。各薬剤に対する感受性は、平成23年度分離菌において、各種の抗菌薬に対して耐性化が認められた。CFIXに対しては約40%の菌株で感受性の低下が、LVFXに対しては85%の菌株で耐性化が認められた。CTRXについては、2株でMICが0.5μg/mlであった。AZMに関しては、平成23年度分離菌に対するMICの範囲は、0.015-2μg/m1であり、50%および90%の菌株の発育を抑制する濃度、MIC50とMIC90は、0.5μg/mlと1μg/mlであった。2000年代前半の臨床分離菌株の感受性と比較して感受性の低下が観察されているが、近年、ヨーロッパおよび南米で観察されているAZM高度耐性菌は分離されなかった。 AZMの耐性化機序の解析は、平成21年度から平成23年度に収集した淋菌臨床分離株を対象として開始した。AZMのMICが1-16μg/mlの菌株よりDNAを抽出して、23SrRNA遺伝子の変異を検討した。MICが4μg/mlの1株と16μg/mlの1株でallele1からallele4のすべてにおいて遺伝子変化を認めた。さらに、MICが16μg/mlの1株でallele1、allele2とallele4に遺伝子変化を認めた。ただし、海外で報告されているAZM高度耐性菌における23SrRNA遺伝子の変異とは異なる部位の変異であった。 日本においては、AZM高度耐性菌の出現の報告は現時点では無いが、本研究でAZMに対する中等度耐性菌が既に出現していることを明らかにした。さらに、その耐性機序として23SrRNA遺伝子の変異であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度ごとに収集できた淋菌臨床分離株が増加しており、平成23年度からは耐性機序の解析が開始できている。解析の結果においては、耐性に係わる23SrRNA遺伝子の変異を検出できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度も引き続き、淋菌臨床分離株の収集を行い、各種薬剤に対する感受性の変化を検討する。AZM耐性淋菌については、その耐性機序を検討する。平成24年度は、23SrRNAのみならず他のマクロライド耐性に係わる遺伝子変化についても解析予定である。
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