尿路結石形成のリスクファクターの1つである高蓚酸尿症の原因には遺伝性疾患である原発性高蓚酸尿症1型(PH1)、2型(PH2)があるが、大部分は原因不明である。PH1は、肝細胞内に存在するSPT/AGTの異常によって、PH2は、GRの異常によっておこるが、診断方法はいずれも保険収載されていない。原因不明の蓚酸カルシウム含有結石患者の一部はこの酵素異常が原因である可能性が十分にあるが、結石症患者でのGR活性については調査されていない。本研究においてPH1症例のSPT/AGT活性を測定するとともに尿路結石症の患者におけるGR、L-Glycerateの測定を行うことにより、未だ原因不明である多くの尿路結石症患者の原因の一部を究明に寄与することを目的とする。平成24年度は① PH1症例のSPT/AGT活性の蓄積② PH2疑いおよび尿路結石症患者におけるGR活性の測定③ PH2疑いおよび尿路結石症患者におけるL-グリセリン酸の測定を行い症例の集積を行っていた。 ①PH1患者の確定診断としてのSPT/AGTに関してはそのドナーも含め15例測定が終了しており、SGT活性にて測定可能であった。ドイツで開かれるPHworkshopにて報告した。 ②GR活性の測定は9例の結石患者に対し行い、平均値は1.81±0.76 nmol/min/mg proteinであった。これは健常人より高い値であり、当初の予定度は逆の結果となった。 ③L-グリセリン酸の測定は52例の健常人と9例の結石患者において測定を行った。全体の値は16.8±9.1μmol/Lであり、結石患者において優位に高かった。 今回の研究にて結石患者のL-Glycerateは高く、結石の原因の一端にGRの活性低下が示唆されたが、GRの活性は実際の測定では健常人より高く、矛盾する結果となった。
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