研究課題/領域番号 |
22591791
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石井 亜矢乃 岡山大学, 病院, 助教 (00423294)
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研究分担者 |
狩山 玲子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40112148)
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10144776)
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キーワード | 感染症 / 細菌 / 多剤耐性菌 / 尿路カテーテル / 感染管理 / 分子疫学 / クランベリー / 院内感染 |
研究概要 |
長期尿路カテーテル留置患者を研究対象として院内感染防止対策を講じるための実態調査を行い、基礎的・臨床的エビデンスに基づいて病院全体ならびに地域医療における感染管理および感染制御に貢献することを目的として研究を遂行した。 1.障害者病棟の長期尿路カテーテル留置患者を対象として、歯垢と吸引痰からの日和見病原菌の検出状況を調査するとともに分子疫学的解析を行った。その結果、長期尿路カテーテル留置患者の85%が歯垢や吸引痰に日和見病原菌(主に緑膿菌、MRSA、セラチア菌)を保有しており、半数以上の患者から比較的高い菌数で複数菌種が検出された。また、同一病棟内でのMRSAの交差感染が確認された。 2.障害者病棟におけるESBL(基質拡張型βラクタマーゼ)産生・非産生大腸菌の分離状況とバイオフィルム形成能の検討を行い、さらにESBL産生株については分子疫学的解析を行った。ESBL産生大腸菌(産生株)39株(尿23株、喀痰16株)・非産生大腸菌(非産生株)32株(尿21株、喀痰11株)を対象とした。産生株は非産生株に比較し有意に高いバイオフィルム形成能を示した。産生株に形成能の高い株を2株(喀痰由来株)認めたが、非産生株には認めなかった。分子疫学的解析の結果、交差感染の可能性が示唆された。障害者病棟では尿路カテーテル留置や気管カニューレ挿入患者が多く、これらのデバイスに形成された複数菌バイオフィルムの内部でESBL産生遺伝子を伝達する可能性もある。 3.長期尿路カテーテル留置患者1例において、尿pH、尿中細菌の菌種・菌数、尿臭をもとに効果的なクランベリー投与方法を確立するための検討を継続している。患者家族には研究内容について説明文書を用いて十分に書面と口頭で説明し、同意が得られた後に開始した。今後症例を増やして検討する必要がある。
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