研究課題/領域番号 |
22591797
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40264733)
|
研究分担者 |
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40238134)
岡田 敦志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70444966)
広瀬 真仁 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (70529172)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
|
キーワード | 尿路結石症 / 生活習慣病 / 転写因子NF-κB / オステオポンチン / IKKα阻害剤 / IKKβ阻害剤 |
研究概要 |
尿路結石症は生活習慣病の一つであり、その発症機序、転写因子NF-κBによって病態形成が促進されること、炎症との関連、オステオポンチンの関与など、動脈硬化症と多くの共通点をもつ。現代の生活習慣は、脂肪蓄積・肥満を介して、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化症といった生活習慣病を引き起こす。そこで、動脈硬化症の発生・進展への関与が報告されているサイトカイン、接着分子、NF-κB・RANK-RANKLシグナル伝達系が尿路結石形成でも同様の働きをしているか否かを調べた。最初に、尿細管細胞株でのNF-κBの活性化およびRANKL、結石関連蛋白の発現の検討を行った。種々の酸化ストレス、炎症性サイトカイン刺激、シュウ酸負荷により尿細管細胞株(MDCK, NRK52E)においてNF-κBの活性化が証明された。さらに、結石関連蛋白であるオステオポンチン(OPN)の発現が誘導された。しかし、RANKLの発現誘導は認められなかった。次に、結石形成モデル動物でのNF-κBの活性化およびRANKL、結石関連蛋白の発現の検討を行った。尿細管細胞株での検討と同様にシュウ酸前駆物質の投与によりNF-κBの活性化が証明された。さらに、結石関連蛋白であるオステオポンチン(OPN)の発現が誘導され、結石形成部位においてマクロファージの遊走がみられた。 また、新規NF-κB阻害薬としてIKKα阻害剤、IKKβ阻害剤を用いて、尿細管細胞におけるNF-κB活性化への影響を調べた。いずれの薬剤でもNF-κB活性化阻害は認められたが、特にIKKβ阻害剤で有意に阻害効果が強かった。 これまでの検討から尿路結石形成には動脈硬化症と同様にNF-κBが深く関与しており、NF-κB阻害剤による結石形成予防が期待できると考えられる。
|