イソフルレン吸入麻酔下のラットより採取した膀胱をMEM培養液中で上皮側が露出するように伸展、固定し、これにディスパーゼ、トリプシンを作用させ収集分散した膀胱上皮細胞を、Defined Keratinocyte Serum Free Medium(Life Technologies)で初代培養し、ここに、イソフルレン麻酔下ラットより採取した逆行性神経標識物質で標識された膀胱支配知覚神経の細胞体が含まれるL6、S1位の後根神経節にトリプシン、コラゲナーゼ、DNaseIを作用させることにより分散収集した後根神経節神経細胞を加え、両細胞を上皮培養条件で共培養することを試みた。また、シャーレにて培養中のある膀胱上皮細胞に機械刺激を与えると、周囲の膀胱上皮細胞に興奮が伝達されることが、カルシウムイメージングによって観察できた。加えて、目的である排尿機能の自律神経制御機構の解明をすすめ、過活動膀胱等の排尿・蓄尿障害に対し現在行われている治療の強化および新しい治療標的の発見に結びつき、共培養系での解析標的ともなる可能性のある物質としてKv4.3チャネルのL6、S1位後根神経節での発現を明らかにした。 しかしながら、膀胱上皮細胞と標識した膀胱支配知覚神経を含む後根神経節神経細胞との安定した共培養系を確立することはできず、膀胱上皮細胞と膀胱支配知覚神経細胞との関係を共培養系を用いて明らかにすることはできなかった。
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