研究概要 |
尿路結石症全国疫学調査の個人調査票30,448例のデータベースを用い、個々の患者における肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病の合併数(メタボリックシンドローム因子数)と結石形成リスクの関係について検討したところ、メタボリックシンドローム因子を多く有する患者では再発または多発症例が多く、尿化学異常(高カルシウム尿、高尿酸尿、高蓚酸尿、低クエン酸尿)を有する症例が多かった。また、和歌山県立医科大学附属病院泌尿器科を受診した尿路結石患者432名においてメタボリックシンドローム因子数と尿pHの関係について検討したところ、メタボリックシンドローム因子数を多く有する患者では尿pHは低かった。以上の結果より、メタボリックシンドロームでは酸性尿、高尿酸尿から尿酸結石、高カルシウム尿、高蓚酸尿、低クエン酸尿からカルシウム結石の形成リスクが高くなることが示された。なお、び内臓脂肪蓄積/インスリン抵抗性の改善による尿路結石の予防効果の評価を試みたが、充分な症例数を集積できなかったため、解析には至らなかった。
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