研究概要 |
ヒト、ブタ膀胱におけるROCK阻害薬の効果 ブタ膀胱を用い、尿路上皮付着、および非付着膀胱平滑筋切片を作成して、コリン作動薬(carbacholおよびPilocarpine)を段階的(cumulative)に投与し、濃度-収縮曲線を作成した。Krebs液で洗浄後、ROCK阻害薬(Y27632、 fasudil)を添加し、阻害薬の存在下における濃度-収縮曲線を作成し、排尿筋収縮に対するRho/ROCKシグナル伝達系の関与の有無を、尿路上皮付着、非付着組織において比較検討した。その結果、ROCK阻害薬は、尿路上皮非付着切片では収縮抑制効果が弱かったが、尿路上皮付着切片では有意に抑制した。さらに経壁電気収縮、KCLによる収縮による排尿筋収縮についても、尿路上皮付着の有無により比較検討した結果、Y27632は尿路上皮非付着切片では収縮抑制効果が弱かったが、尿路上皮付着切片では有意に抑制した。しかしfasudilでは、尿路上皮付着の有無に関わらず、収縮を抑制した。 ヒト膀胱においても同様の実験を行い、ほぼ同様の結果を得た。 次にヒト、ブタ膀胱での尿路上皮付着切片において、ROCK阻害薬投与前にNOS阻害薬(L-NOARG, L-NAME)を前投与し、NO放出を抑制することにより、ROCK阻害薬の効果がどのように変化するかを検討した。この結果についてはまだ症例数が少なく、次年度に結果をまとめる予定である。
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