研究課題/領域番号 |
22591801
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
山西 友典 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90220425)
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キーワード | ムスカリン / Rho / Rho kinase / カルバコール / ピロカルピン / Y27632 / ファスジル / 一酸化窒素 |
研究概要 |
ブタ膀胱を用い、尿路上皮付着、および非付着膀胱平滑筋切片を作成して、コリン作動薬(carbachol)を段階的(cumulative)に投与し、濃度-収縮曲線を作成した。Krebs液で洗浄後、ROCK阻害薬(Y27632、fasudil)を添加し、阻害薬の存在下における濃度-収縮曲線を作成し、排尿筋収縮に対するRho/ROCKシグナル伝達系の関与の有無を、尿路上皮付着、非付着組織において比較検討した。その結果、ROCK阻害薬は、尿路上皮非付着切片では収縮抑制効果が弱かったが、尿路上皮付着切片では有意に抑制した。さらに経壁電気収縮、KCLによる収縮による排尿筋収縮についても、尿路上皮付着の有無により比較検討した結果、Y27632は尿路上皮非付着切片では収縮抑制効果が弱かったが、尿路上皮付着切片では有意に抑制した。しかしfasudilでは、尿路上皮付着の有無に関わらず、収縮を抑制した。 ヒト膀胱においても同様の実験を行い、ほぼ同様の結果を得た。 ヒト、ブタ膀胱を用い、M3ムスカリン受容体作動薬であるピロカルピンの濃度-収縮曲線を作成した。種々のムスカリン受容体阻害薬を用いて、ピロカルピンの収縮抑制実験を行った結果、M3-ムスカリン受容体に親和性が高いことが判明した。 現在ヒト、ブタ膀胱での尿路上皮付着切片において、ROCK阻害薬投与前にNOS阻害薬(L-NOARG,L-NAME)を前投与し、NO放出を抑制することにより、ROCK阻害薬の効果がどのように変化するかを検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度においては、まずヒト、ブタ膀胱を用い、M3ムスカリン受容体作動薬であるピロカルピンの濃度-収縮曲線の実験を優先した。現在ヒト、ブタ膀胱での尿路上皮付着切片において、ROCK阻害薬投与前にNOS阻害薬(L-NOARG,L-NAME)を前投与し、NO放出を抑制することにより、ROCK阻害薬の効果がどのように変化するかを検討しているところであるが、人の膀胱組織の獲得が困難なために実験が遅れている。ブタの組織実験については、6割の実験が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度残りの実験を行い、データを解析する予定である。
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