原発性アルドステロン症(PA)は全高血圧患者の5~10%、若年層を含めて最低でも120万人以上の潜在患者が存在する。我々の研究グループは本邦有数の副腎手術を遂行、「アルドステロン産生腺腫にはCT陰性の微小腺腫や両側性腺腫が少なからず存在する。その手術は安全に施行可能であるが、適応と術式決定に関しては副腎静脈サンプリングが必要である」とのエビデンスを得て、その成果を23年度までに国際誌に複数発表してきた。 今年度も更に微小腺腫や両側性腺腫に対する手術症例を追加、データの集積に努めた。これらの成果は種々の雑誌や書籍より要請を受けて執筆、現実的には本邦における副腎手術関係の原稿の過半は我々のグループが手がけていると言って良い。25年度に刊行予定の教科書「ベッドサイド泌尿器科」における「原発性アルドステロン症」の単元の記述も我々のグループが担当した。看護関係の雑誌からの複数の依頼原稿にも対応した。日本泌尿器科学会からも指名を受けて総会の教育プログラムで講演した(研究代表者:石戸谷滋人)。また、国際泌尿器科学会総会においても特別講演を行った(研究分担者:荒井陽一)。原発性アルドステロン症の外科治療に関して我々のグループから発信する内容~副腎静脈サンプリングをベースにしたアルドステロン産生微小腺腫や両側性腺腫への積極的腹腔鏡手術の適用~は、日本泌尿器科学会および日本内分泌外科学会をリードし、標準治療となりつつある。
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