研究課題/領域番号 |
22591809
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
松田 公志 関西医科大学, 医学部, 教授 (20192338)
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研究分担者 |
大口 尚基 関西医科大学, 医学部, 講師 (60257912)
河 源 関西医科大学, 医学部, 講師 (10268344)
木下 秀文 関西医科大学, 医学部, 准教授 (30324635)
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キーワード | 腹腔鏡手術 / 鉗子作用力計測 / 剥離操作 / 技術分析 |
研究概要 |
今回我々は、腹腔鏡手術における鉗子先端に力を加える手術操作のうち、臓器から臓器を剥がす剥離操作に注目した。操作中の鉗子先端に加わる力を計測するシステムの作成を行い、剥離技能分析を目標とし、操作中に術者が加える力の方向について評価を行った。 先端へら型内視鏡用鉗子を先端から約6cmの部位で切断し、両断端の間に3軸力覚センサを装着し、鉗子先端に作用力計測鉗子を作成した。計測される力の方向は、鉗子長軸方向である垂直力、鉗子長軸に対し垂直方向である水平力の2方向とした。本実験では、死体豚から摘出した腎動静脈付きの腎臓を用意し、腎動脈から周囲脂肪組織を剥離する際の、利き腕における鉗子先端作用力の計測を行い、力の方向の検討を行った。 対象は腹腔鏡手術認定医1名と執刀経験のない医師1名とした。鉗子先端が臓器に触れてから離れるまでの1回の剥離操作をワンストロークとし同操作を10回ずつ行った。評価項目は、ワンストロークに要した時間、垂直力及び水平力のピークを迎えるタイミング(剥離時間全体に対するピークとなるまでの時間の割合:%)とした。ワンストロークの時間に関しては、熟練医が平均2.76秒、未熟練医が平均3.21秒と熟練医の方が短い時間で剥離を行っていた。ピークのタイミングに関しては、水平力では未熟練医が平均77.3%に対し熟練医が平均80.6%と大きく差は認めなかったが、垂直力に関しては未熟練医が平均81.2%に対し熟練医が平均33.7%と、早くピークを迎えた。 計測結果から熟練者は、始めに弱い水平力と共に垂直力を加え、その後、垂直力を減らしながら水平力を増加させていると推察することができた。一方で、未熟練者は剥離開始から垂直力、水平力ともに増加させていると分析することが可能であった。今後、被験者数を増やし熟練者と未熟練者の剥離技術を詳しく行いたいと考えている。
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