研究課題/領域番号 |
22591815
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
高橋 俊文 山形大学, 医学部, 講師 (20302292)
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研究分担者 |
五十嵐 秀樹 山形大学, 医学部, 助教 (80333970)
網田 光善 山形大学, 医学部, 助教 (30420061)
倉智 博久 山形大学, 医学部, 教授 (40153366)
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キーワード | 卵の加齢 / 加齢マウス / 細胞内カルシウム制御機構 / カルシウムオシレーション / ATP |
研究概要 |
本年度は、加齢マウスにおける受精時のカルシウムオシレーションの検討を行った。若年マウス(3~4ヶ月齢)と加齢マクス(13~15ヶ月齢)を用いて以下の実験を行った。(1)受精時のカルシウムオシレーションの検討(担当:高橋)。受精時のカルシウムオシレーションをカルシウム蛍光指示薬fura-PE3を卵に負荷、細胞内カルシウム濃度を測定した。加齢マウス卵のカルシウムオシレーションの波形を解析し、若年マウス卵のカルシウムオシレーションと比較したところ、以前我々が報告した排卵後の加齢卵におけるカルシウムオシレーションの波形の変化(低振幅・高頻度)は認められなかった。(2)ストロンチウムによるカルシウムオシレーションの検討(担当:高橋)。ストロンチウムによるカルシウムオシレーションを若年マウス卵と加齢マウス卵で比較した。受精時のカルシウムオシレーションの波形と同じく、両者の間に波形の差は認められなかった。(3)細胞内カルシウムストアの評価(担当:高橋)。細胞内のカルシウムストアを若年マウス卵と加齢マウス卵で検討した。カルシウムイオノフォアを投与し、細胞内カルシウム濃度を測定し、細胞内カルシウムストアを評価した。細胞内カルシウムストアは、若年マウス卵と加齢マウス卵で変化はなかった。以上の結果は、我々の予想した結果と異なり、細胞内カルシウム制御機構の悪化が加齢マウス卵では起きていないことがわかった。(4)カルシウムオシレーションと細胞内ATPのリアルタイムモニタリング(担当:五十嵐)。受精時のカルシウムオシレーションを測定する際、細胞内ATPのリアルタイムモニタリングを行った。方法はマグネシウム感受性蛍光色素であるMg greenをfura-PE3と同時に卵に負荷、各々の蛍光に対するフィルターを用いて蛍光を分離し測定した。細胞内ATPの産生の増加を若年マウス卵と加齢マウス卵で比較検討した。受精後の細胞内ATPの増加率は、若年マウス卵と比べ加齢マウス卵で有意に低下していることがわかった。(1)~(4)の研究結果より、加齢マウス卵は細胞内カルシウム制御機構の悪化は起きてないことがわかった。加齢マウス卵の受精後の細胞内ATP産生の増加は低下していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、本年度は、加齢マウス卵における細胞内のカルシウム制御機構の変化とオートファジーの関与について検討する予定であった。しかし、加齢卵における細胞内カルシウム制御機構の変化が予想した結果と異なっていたため、受精時のカルシウムオシレーションだけでなく、ストロンチウムによるカルシウムオシレーションの解析と細胞内カルシウムストアを評価する必要があった。以上の理由でオートファジーの関与についての検討ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究の最終年度である。平成23年度に予定していたオートファジーの関与について実験を行い、若年マウス卵と加齢マウス卵におけるメタボローム解析を行う予定である。
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