新規新生児外科治療戦略として自己組織を利用した欠損修復と血流回復を目指し、自己組織由来生体材料の開発と評価、治療モデルの作成を開始した。まず、臍帯血からの血管内皮前駆細胞(OEC)の単離と効率的な増幅方法の確立を行った。培地・培養皿・播種細胞数・培地交換・ソートの必要性・凍結材料の利用について検討を行った結果、EBM2培地にEGM-2-MVを添加した培地を使用し、6well fibronectin coated plateに5×10^7/wellで播種し、培地交換は1-3日に1回、全単核球を凍結せずに使用した場合、確実にOECが採取できることが判明した。次に、このOECを利用して強固で安定した毛細血管の作成をするため、OECと同じ新生児由来である臍帯の間葉系幹細胞(ワルトンゼリー細胞:WJC)の採取法を確立した。これを壁細胞として利用し、印刷技術を利用した細胞転写法によりOECとWJCからなる毛細血管を羊膜上に作成した。次に、この毛細血管の評価を行うため、創傷モデルマウスの作成を行った。創傷治癒遅延を来す創部を作成するため、臀部に磁石を装着し、虚血再還流を繰り返すことによる難治性の創部の作成を試みた。条件を変更し創部の評価を行った。以上により移植用の新生児自己組織由来毛細血管が完成した。これは今後の移植材料として有用だと考えられるが、今後引き続き詳細な機能評価を行う予定である。
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