研究概要 |
エストロジェンの標的細胞である下垂体細胞において、IGF-1依存性の細胞増殖作用に対する、エストロジェンの増殖抑制作用に伴い発現量が変化する遺伝子を複数見出しているが、これら遺伝子発現を調節しているmicroRNA(miRNA)を明らかにするため、下垂体前葉初代培養細胞を実験モデルとして、エストロジェンの投与により発現量が変化するmiRNAをmiRNAマイクロアレイにより網羅的に調べた。 下垂体前葉初代培養細胞に、Vhehicle、IGF-1(30ng/ml)、IGF-1(30ng/ml)及びestradiol(1nM)を投与し、3時間後及び、12時間後に培養細胞からmiRNAを抽出し、EXIQON社のmiRCURYLNA^<TM> microRNA Arrayを使用して、二色法によるマイクロアレイ解析を行った。 その結果、大きく発現量が変動しているmiRNAはそれほど見出せなかったものの、IGF-1単独投与に対して、estradiolの同時投与により、3時間後に、miR-34b,miR-184が、約0.4倍に発現量が減少している事が分かった。また、投与12時間後には、miR-34c,miR-138が約2倍に発現量が増加し、miR-26aが約0.5倍に発現量が減少している事が分かった。このことから、これらmiRNAがエストロジェンによる細胞増殖抑制作用に関与している可能性が考えられる。 今後は、このマイクロアレイ解析によって得られた、これらエストロジェンの増殖抑制作用に関与している可能性のあるmiRNA発現変化を、Real-time PCRで確認し、さらに詳細な経時変化についても調べる。
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