研究概要 |
子宮内膜症を有さない患者の子宮内膜から分離培養した子宮内膜間質細胞(euESCa), 子宮内膜症を有する患者の子宮内膜から分離培養した子宮内膜間質細胞(euESCb), 卵巣子宮内膜症性嚢胞壁から分離培養した間質細胞(choESC)をサンプルとして用いた。メチル化解析はHumanMethylation27で、トランスクリプトーム解析はGeneChip 1.0 ST Arrayで行った。検体採取は増殖期であり、各群3例を解析した。DNAメチル化解析において、euESCaに比し、choESCでは883 CpGのメチル化に差異が認められた(高メチル化368、低メチル化441)。euESCa-choESC間でメチル化が変化した遺伝子群の解析を行った結果、choESCでは正常と異なるシグナル伝達、分化、レセプター、サイトカイン-レセプター相互作用等を有していた。一方、トランスクリプトーム解析の結果、euESCa と choESCの比較においては、choESCで高発現遺伝子が498、低発現遺伝子が329遺伝子認められた。DNAメチル化解析におけるクラスター解析ではeuESCaとeuESCbは同じクラスターに分類されたが、choESC群は独立したクラスターに分類された。しかし、トランスクリプトーム解析においては明らかなクラスター形成を認めなかった。以上から子宮内膜症では高頻度にゲノムワイドDNAメチル化異常、mRNA発現異常が認められるが、DNAメチル化情報の方が病態の本質をよりよく表すと考えられた。 また、euESCaを2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin: 10nM 添加、14日間培養後のゲノムワイドDNAメチル化の解析を行った結果、比較的少数のCpGでメチル化状態に変化が認められたものの、一定の傾向は認められなかった。
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