研究課題
目的:マイクロRNA (miRNAs)は、19-25bpのタンパク質をコードしない単鎖RNAであり、ターゲットになるmRNAの3'側非転写領域に結合して遺伝子発現を調節している。miRNAsは個体の発育・分化に関連しているため、母体血中の胎盤特異的miRNAsは妊娠中の分子マーカーとして注目される。そこで、次世代高速シーケンシング法を用いて、母体血中における胎盤特異的miRNAを網羅的にスクリーニングした。対象と方法:妊娠末期の母体末梢血、胎盤組織および臍帯血を一組として計2組を対象とした。それぞれの検体よりmiRNAを抽出し、イルミナ社ゲノムアナライザーを用いた次世代高速シーケンス法により、各検体間の発現レベルを比較検討した。発現レベルはリード数で算出し、5リード未満のものを陰性とした。臍帯血および母体白血球におけるリード数は陰性かつ胎盤組織におけるそれは100リード以上のmiRNAを胎盤特異的miRNAとした。本研究は倫理委員会の承認を得て、同意のもとに行われた。結果:データベースに登録されている既知のmiRNAのうち、母体血中における胎盤特異的miRNAとしてhas-miR-518bを含む46個のmiRNAが同定された。そのうち35個(76.1%:35/46)は、19q13.42上にクラスターを形成していた(chromosome 19 miRNA cluster : C19MC)。結論:同定された46個の胎盤特異的miRNAは、癒着胎盤を評価する手がかりになると考えられ、その多くはC19MC領域に存在していた。
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Journal of Human Genetics
巻: (in press 掲載確定)
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