研究概要 |
[目的]本年度の目的はPrss35の酵素活性をはじめとした機能解析を行うためのRecombinant mouse Prss35 protein(rmPRSS35)の産生を試みることである。[方法]rmPRSS35産生にはバキュロウイルス・哺乳生物・大腸菌発現系を用いた。具体的には、V5-His-tagged recombinant plasmid vectorを各発現系の細胞(Sf9,Cos7,CHO,BL21 cell)にトランスフェクションし、cell lysate およびconditioned mediaにおけるrmPRSS35の発現をanti-V5 antibodyによるWestern blottingにて検討した。さらに、rmPRSS35の発現レベルをcell lysateのCoomassie染色にて評価した。[結果]Western blottingにより、Sf9、Cos7、CHOおよびBL21 cell の cell lysateにおいてV5-His-tagged rmPRSS35に相当する蛋白(52 kDa)が確認された。特に、Sf9 cellではcell lysateおよびconditioned mediaにアミノ酸配列から推測された分泌型に相当するタンパク分画(33 kDa)が検出された。しかしながら、Coomassie染色では、Sf9 cell lysateのV5-His-tagged rmPRSS35発現レベルは低く内因性蛋白と同等であった。また、Sf9 cell の conditioned mediaにおけるrmPRSS35発現レベルも低かった。[考察]rmPRSS35のprotein processingは細胞種により異なること、大量の蛋白産生に有用とされるバキュロウイルス発現系を用いてもrmPRSS35発現レベルが高くないことが判明した。なお、本年度の研究期間中にrecombinant human Prss35 proteinが(rhPRSS35)発売されたため、今後はこのrhPRSS35を用いて機能解析に着手する予定である。
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