研究課題/領域番号 |
22591834
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
宮越 敬 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70265883)
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研究分担者 |
田中 守 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20207145)
峰岸 一宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30276331)
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キーワード | 卵巣 / 霊長類 / プロテアーゼ / タンパク質 |
研究概要 |
[目的]本年度の目的はアカゲザル(rhesus macaque)の組織検体を用いて、Prss35 mRNAの組織内発現を検討することである。[方法]月経開始6日目からのホルモン値のモニタリングにより月経周期を判定し、月経開始直後、排卵期、黄体期(早期:Day3-5:中期:Day6-8;中後期:Day10-12;後期:Day14-16)に卵巣組織を採取した。また、卵巣以外の組織(例:脳、肺、肝臓など)は剖検例から採取した。(1)脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓、子宮、卵巣、精巣におけるPrss35 mRNA発現を検討した。(2)各月経周期における卵巣組織のPrss35 mRNA発現レベルの変化をreal-time PCRを用いて検討した。(3)35S-UTPによるin situ hybridization(ISH)法を用いて各月経周期におけるPrss35 mRNAの卵巣内局在を検討した。[結果](1)種々の組織のなかで、特に卵巣、精巣にPrss35 mRNA発現を強く認めた。(2)Prss35 mRNA発現は月経開始直後に比べ卵胞期に有意に増加した。また、排卵期においては、hCG投与後にPrss35櫨NA発現レベルは低下し、黄体期全期間を通じて発現レベルは低値であった。(3)ISHでは前胞状・胞状卵胞(preantral/antral follicle)の穎粒膜細胞を中心にPrss35 mRNA発現を認めた。 [考察]アカゲザルにおいてPrss35 mRNAは生殖組織を中心に強く発現し、特に卵巣においては卵胞発育時に主に顆粒膜細胞に存在することが示された。また、排卵誘発後にPrss35 mRNAの発現が急激に低下した。以上より、Prss35はアカゲザルにおける卵胞発育および排卵機序に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、Prss35タンパクの酵素特異性の検討に関する予備実験を行っている。しかしながら、Prss35タンパクの酵素活性は予想以上に弱く、その評価が困難である。
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今後の研究の推進方策 |
卵胞発育および排卵期におけるmRNA発現の動的変化を考えると、アミノ酸配列から示唆されるようにPrss35はプロテアーゼとして卵巣の組織構築に関与する可能性がある。コマーシャルベースで入手可能なrecombinant human Prss35 proteinおよび抗Prss35抗体を用いて、プロテアーゼとしての基質特異性および卵巣内タンパク発現を検討する予定である。
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