研究概要 |
[目的]アカゲザルの卵巣組織内におけるPrss35蛋白の局在、Prss35のhomologであるPrss23の卵巣内mRNA発現、両蛋白の酵素特性を検討した。 [方法] [卵巣内発現解析]月経開始直後、排卵期、黄体期(早期:Day 3-5:中期: Day 6-8;中後期: Day 10-12;後期: Day 14-16)に採取した卵巣組織を用いた。(1) 抗Prss35抗体による免疫組織染色を用いてPrss35蛋白の局在を検討した。(2)各月経周期のPrss23 mRNAの変化をreal-time PCRにより解析するとともに、in situ hybridization(ISH)法によりその卵巣内局在を検討した。[酵素特性解析] Prss35およびPrss23のrecombinant proteinおよびtrypsin基質(Nalpha-Benzoyl-L-arginine 4-nitroanilide hydrochloride, Sigma)を用いてkinetic assayを行った。 [結果] [卵巣内発現解析] (1)顆粒膜細胞の卵胞内腔側細胞壁および血管壁にPrss35蛋白発現を認めた。(2) Prss23 mRNA発現は卵胞期に有意に増加した。発現レベルはhCG投与後に減少傾向を示したが黄体期には再上昇し、特に後期には早期の約3.2倍に増加した。ISHでは胞状卵胞の顆粒膜細胞および退縮期黄体に強いPrss23 mRNA発現を認めた。 [酵素特性解析] Prss35およびPrss23ともにtrypsin基質に対する活性は極めて弱く、有意な結果を得られなかった。 [考察] Prss35蛋白が顆粒膜細胞に局在すること確認された。また、mRNA発現を顆粒膜細胞および退縮黄体に認めることから、Prss23は卵胞発育に加え黄体退縮にも関与すると推測された。
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