研究課題
1.本研究では、マウスをモデルとして卵子形成に関わる遺伝子を抽出するとともに、単一卵子から抽出した試料の至適遺伝子発現解析法を開発することにその目的をおいた。3年間の研究期間に、1)マウス単一卵子から遺伝子抽出・増幅・発現解析を行うことに成功し、2)体外発育卵子と体内発育卵子の比較により、卵子形成に関わる遺伝子の抽出と卵子体外培養法の実態を解明できた。単一卵子からの遺伝子抽出には外来RNAをキャリアとして用い、RiboSPIA法により遺伝子増幅後、Agilent社マイクロアレイにて解析した。また卵子形成に関わる遺伝子解析については、7日齢BDF1マウスから採取した前胞状期卵を総培養期間20日間で体外成熟・体外培養し、得られたMII卵子を培養前の前胞状期卵、および体内成熟MII期卵を試料として用い、各々5個から抽出した遺伝子を前述の方法で増幅・遺伝子発現解析した。その結果、Plagl1、Mzf6d、Hyou1等の遺伝子発現量が体外成熟卵子と体内成熟卵子で異なっていた。2.一方、当初複数遺伝子の発現量を定量的解析するため予定していたcDNA再利用法の単一卵子由来試料への適用については技術的困難性があり、また近年急速に普及したRNA-seq(次世代シークエンサー)解析で数倍の情報量を持って代替することが可能であることが明らかとなり、また我々が単一卵子より抽出・増幅した遺伝子産物を試料として解析可能であった。とくに1.で述べた体外成熟卵子と体内成熟卵子で発現量の異なる遺伝子は、マイクロアレイによる解析結果とRNA-seqによる解析結果が一致していた。3.研究期間内に予定していたヒト単一卵子遺伝子発現解析への応用は実験を試行できないまま研究期間が終了したが、本法はそのままヒトの遺伝子解析に応用できると推察できる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)
Sci Rep.
巻: 2:930. ページ: 1-9
10.1038/srep00930
周産期医学
巻: 42巻8号 ページ: 991-1000
産婦人科の実際
巻: 61巻8号 ページ: 1179-1183
Medical Science Digest
巻: 38巻6号 ページ: 245-248