次の2点を明らかにした。 (1)思春期(3週齢)のWistar-Imamichiラットに生殖腺刺激ホルモン(pregnant mare serum gonadotropin)を投与して卵胞の発育を促進した後、卵巣から成熟卵母細胞と卵丘細胞の複合体を得た。次に、この成熟卵胞-卵丘細胞複合体をヒアルロニダーゼで処理し、成熟卵母細胞を単離した。成熟卵母細胞がメラトニン(5-メトキシ-N-アセチルトリプタミン)を合成及び放出しているのかどうかを明らかにするために、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)を含む培養液で成熟卵母細胞を一定時間培養した後、成熟卵母細胞及び培養液中のN-アセチルセロトニン(メラトニン前駆体)とメラトニンをHPLC-蛍光検出で同定及び定量した。その結果、卵母細胞がセロトニンからN-アセチルセロトニンを経て、メラトニンを合成することと、メラトニンが卵母細胞から放出されることを明らかにした。その合成量と放出量が培養時間とセロトニン用量に依存して増加した。 (2)成熟(10週齢)Wistar-Imamichiラットから卵巣を摘出し、そのパラフィン組織切片を作成した。次にメラトニン合成過程における律速酵素であると主張されているarylalkylamine N-acetyltransferase(AANAT)に対する抗体を用いた免疫染色を行った。その結果、卵母細胞、卵巣間質、卵巣内に侵入していたマスト細胞においてAANATが発現していることを明らかにした。
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