ラットの卵巣において、松果体と同様に、メラトニン合成過程における律速酵素であると主張されているarylalkylamine N-acetyltransferaseが存在するのかどうかを確認することを目的とした。そのために、成熟(10週齢)Wistar-Imamichiラットから、卵巣と松果体を摘出し、これらの抽出物を用いて、arylalkylamine N-acetyltransferaseに対する抗体を用いたWestern blottingを行った。その結果、卵巣と松果体の両者の抽出物において分子量24kDaのタンパク質が検出された。従来の報告から、この24kDaのタンパク質はarylalkylamine N-acetyltransferaseである。従って、卵巣にarylalkylamine N-acetyltransferaseが存在することが立証され、卵巣でメラトニンが合成されている可能性が示唆された。 次に、arylalkylamine N-acetyltransferaseの卵巣における存在部位を明らかにすることを目的とした。そのために、成熟(10週齢)Wistar-Imamichiラットから、卵巣を摘出し、パラフィン組織切片を作成した。次にarylalkylamine N-acetyltransferaseに対する抗体を用いた免疫染色を行った。その結果、卵母細胞、卵巣間質、卵巣内に侵入していたマスト細胞においてarylalkylamine N-acetyltransferaseが存在していることを明らかにした。従って、卵巣におけるこれらの部位でメラトニンが合成されている可能性が示唆された。
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