研究課題
(1)アポトーシス抑制タンパクであるclusterinに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドであるOGX-011あるいはsi-RNAによって卵巣癌細胞におけるパクリタキセル耐性を克服しうることをin vitroの系で確認した。(2)様々な遺伝子発現の調節を通じて発がんやアポトーシスなどに関与することが近年報告されてきているmicroRNA(miR)の中で、miR-31に着目して検討した結果、miR-31の発現低下とパ1クリタキセル耐性との関連があることを見出した。そこで、miR-31の過剰発現クローンを樹立し、対照クローンとの間でパクリタキセル感受性を検討した結果、miR-31により感受性が回復することが確認された。さらに、臨床検体(卵巣癌組織)よりmiRを抽出して定量RT-PCRにて発現を検討した結果、化学療法耐性の腫瘍においてmiR-31の発現が低下している傾向が認められた。(3)miR-31の標的候補分子を同定するために、本年度は二次元電気泳動を用いて発現タンパクの差異を解析し、miR-31発現クローンにおいて対照に比べて発現が低下しているスポットに着目し、質量分析によって候補分子の推定を行った。その結果、MnSOD、IFITM-1という2つの分子の発現がmiR-31によって調節されている可能性が示唆された。本年度の研究成により、他の癌種において既にその有用性が臨床試験で検証されつつあるOGX-011を卵巣癌患者においても臨床試験で検討すべきであること、miR-31を介した新たな抗癌剤耐性機構の解明およびmiR-31を標的とした将来の新たな治療法の確立に寄与しうる新たな治療戦略の確立に資する基礎データを得ることができたものと考える。
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Journal of Gynecologic Oncology
巻: 22 ページ: 3-8
Pathology and Oncology Research
巻: 16 ページ: 345-352