研究課題
StARおよびアロマターゼは局所におけるエストロゲン合成のkey enzymeであり、その発現量は主にSF-1によって制御されていることが報告されている。これまでの検討で、正常子宮内膜に比べ子宮内膜症の局所ではStAR・アロマターゼおよびSF-1が過剰に発現していることが明らかになった。これまでに、局所におけるエストロゲン合成に関してSF-1によるアロマターゼ発現制御機構を検討してきた。しかしながら、これだけでは十分なエストロゲン合成機能を評価できるわけではなく、他の制御因子が関与していることが推察された。今回、コレステロールからエストロゲン合成する過程の6つの酵素のうち、最初の段階に関わりSF-1に発現を制御されるStARに着目し、StARプロモーター領域近傍で発現制御するエピジェネティックな機構が存在するか着目し、その領域の詳細な検討を試みた。研究方法はSF-1と同様に、採取した卵巣子宮内膜症性嚢胞・正常子宮内膜および子宮内膜症腹壁病変の間質細胞をそれぞれ初代培養したものを使用した。結果だが、正常子宮内膜ではStARプロモーター領域におけるメチル化が強く、StARの転写・発現が抑制されていたが、子宮内膜症組織でも正常子宮内膜同様にメチル化が高率で認められた。このことより、SF-1プロモーター領域と異なり、StARに関してはプロモーター領域のメチル化が発現の重要な制御因子ではないことが想定された。以上より、CpGアイランドがSF-1の発現に強く関与していると推察されたが、StAR発現に関しては重要でないと考えられた。
3: やや遅れている
研究計画に従い概ね研究が遂行できているが、新しい標的を疑い様々な検討を行っている。しかしながら子宮内膜症の初代培養細胞は何代も継代できるわけではなく、継代数を重ねた場合、得られた結果にも疑問点が起こることが多い。そのため、当初の予定より、若干の遅れが生じている。
今後、子宮内膜症細胞を用いて、SF-1プロモーター領域における他のSF-1発現制御機構の解明を試みる。併せて、新しい初代培養を作成し、継代数の少ない時点でStARやアロマターゼの発現とSF-1発現の関連をSF-1プロモーター領域のメチル化に着目して再検討してみる。
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