研究課題
子宮頸癌の発症および進展にはHPVE6癌タンパクによるp53等の癌抑制蛋白のユビキチン化を介する分解が深く関与している。ユビキチン化された分解の標的蛋白はプロテアソームにおいて分解される。我々はプロテアソーム阻害剤MG132をナノミセルに包埋することにより、腫瘍へ高率に集積させる新規ドラッグデリバリーシステムを開発した。我々が開発したMG132内包ナノミセルに蛍光ラベルを加え、HPV陽性子宮頸がん由来細胞株HeLa細胞のヌードマウス移植腫瘍への集積性を証明した。マウスの尾静脈から静脈内注射したMG132内包ナノミセルは、裸剤と比べ、血中の滞留時間も延長した。MG132単独でも移植腫瘍の縮小効果を認めたが、MG132内包ナノミセルの投与により、腫瘍はほぼ消失した。裸剤およびMG132内包ナノミセルを投与した移植腫瘍において、ウエスタンブロットにてHPVE6癌タンパクの分解の標的となる癌抑制タンパクの子宮頸がん組織中での回復を確認した。分解の標的癌抑制蛋白のうち、核内蛋白であるp53は核内に発現が回復し、膜蛋白であるhuman Scribbleは膜で発現が回復した。MG132内包ナノミセル投与により縮小した移植腫瘍ではアポトーシスが誘導された。また、MG132裸剤はHPV陰性の子宮頸癌由来細胞株に対しては抗腫瘍効果を示さなかったが、MG132内包ナノミセルはHPV陰性の子宮頸癌由来細胞株に対しても強い抗腫瘍効果を示した。現在、多発性骨髄腫においてはボルテゾミブ等のプロテアソーム阻害剤が保険適応されている。今回我々の開発したMG132内包ナノミセルはその新規ドラッグデリバリーシステムを使用することにより、より効果の高い抗腫瘍効果を示すため、新たな治療戦略となり得る。子宮頸がんにとどまらず、他の癌種においても、新たな治療の選択肢を広げる可能性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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