肥満が子宮体癌の発症・進展に関与する新たな分子機構を明らかにすることを目的に、脂肪細胞から分泌されるadipocytokineに注目し、平成23年度は以下の検討を行った。 「子宮体組織および脂肪組織においてleptin signalingは活性化されているのか?」 1)子宮体癌組織におけるleptinおよびleptin受容体の発現に関する検討 子宮体癌患者における脂肪組織および子宮体癌組織におけるleptinおよびleptin受容体の発現を定量的RT-PCRにより解析を行った。脂肪組織においては両者の発現は臨床進行期や腫瘍分化度との関連はみられなかったが、子宮体癌組織においてはleptinおよびleptin受容体ともに進行例や腫瘍分化度の低い症例において有意に発現が高くなっていた。 2)leptin下流遺伝子の発現解析 leptinの下流遺伝子の発現に関して体癌組織の定量RT-PCRにより解析する。また体癌細胞株においてpathway PCR arrayを使用してleptin添加後の遺伝子発現を解析した。CyclineD1、Myc、VEGF、BCL1、Survirvinといったleptinの下流遺伝子のうちCyclineD1遺伝子の発現が癌組織において有意に高く、同遺伝子がleptinにより細胞増殖に関与している可能性が示唆された。
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