研究課題
我々はエストロゲン受容体(ERα)とインスリン発現の関係についてハムスター膵β細胞HIT-T15を用いてtransient transfectionによる解析を試み,ERαがエストロゲン依存的にインスリンプロモーターの転写を抑制するという結果を得た。これらの事象がどのようなメカニズムで起きるのか解明することを目的とした。初めにノーザンブロッティングを行い、HIT-T15細胞はエストロゲン存在下でインスリンmRNAの発現を抑制することを確認した。deletion アッセイの結果からERαはエストロゲンに依存してラットインスリンプロモーター上転写開始地点より-238から-148bp上流に位置するE2regionに作用することがわかった。この部位には膵β細胞特異的転写因子であるPDX-1、BETA2/E47が関係することが知られている。エストロゲンの結合したERαはPDX-1、BETA2およびE47となんらかの相互作用をしている可能性があると考え、Gal4キメラシステムによるルシフェラーゼアッセイを行った。解析結果からERαはE2存在下においてPDX-1、BETA2と反応する可能性が示唆された。in vitro pull down assay を行いligand依存的にERαとPDX-1、BETA2が結合する可能性のある結果を確認した。我々の実験結果からハムスター膵β細胞HIT-T15においてはエストロゲンはERαと結合しPDX-1、BETA2と相互作用をしてインスリンプロモーターの転写を抑制することが解明された。妊娠後期や閉経後のようなエストロゲンが増減している状態、あるいはエストロゲン製剤を投与するような状況下でのエネルギー、糖代謝バランスを解析することは臨床上においても極めて重要なことと思われる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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