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2011 年度 実績報告書

γH2AXを用いた抗癌剤作用機序の解明と個別治療への応用、および治療効果判定

研究課題

研究課題/領域番号 22591864
研究機関岩手医科大学

研究代表者

杉山 徹  岩手医科大学, 医学部, 教授 (40162903)

研究分担者 黒瀬 顕  弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70244910)
キーワードDNA傷害 / 化学療法 / アポトーシス / γH2AX / フローサイトメトリー / 細胞周期 / 子宮癌 / 卵巣癌
研究概要

卵巣癌,子宮癌をはじめとする婦人科系腫瘍では抗癌剤治療が欠かせない.しかし抗癌剤の選択は過去の臨床治験成績に基づいて行われていると言っても過言では無く,症例ごとに異なる薬剤への腫瘍細胞の反応性や抗癌剤効果の発現機序は未解明の点が多い.われわれは抗癌剤の主たる殺細胞機構の一つとされる抗癌剤によるDNA傷害を,コアヒストンの一つヒストンH2AXについて,DNA断裂を生じた際に特定部位がリン酸化されて生じるγH2AXの特異抗体を用いて検出した.この方法はアポトーシス細胞の同定にも利用可能であり,抗癌剤によるDNA傷害からアポトーシスに至る過程を調べられる点で有意義であるにもかかわらず,われわれのグループ以外ではほとんどなされておらず個々の腫瘍細胞株および様々な抗癌剤において調べられる点がユニークである.その結果現在までに,各抗癌剤が細胞に及ぼす効果は同種類の腫瘍であっても細胞ごとに反応が異なること,抗癌剤の作用機序は従来解明されているもののみでは無いという結果が得られ,個別化治療の重要性が改めて指摘できた.さらに23年度はこの方法によるDNA傷害やアポトーシス細胞の検出を通常の病理組織検体や細胞診検体にも応用した.現在抗癌剤や放射線による治療効果はこれらの標本において形態学的変化を指標になされており客観性に欠けている.病理組織検体ではHE切片を作製するパラフィン切片において,細胞診検体では液状化細胞診や塗抹検体をパパニコロウ染色で鏡検し写真撮影後にカバーグラスを剥離し,それぞれγH2AXの検出を行った.その結果,形態的に治療効果のみられる細胞は殆どがγH2AX陽性を示しDNA傷害が裏付けられた.また形態的に治療効果が明かではない腫瘍細胞においても高度のDNA傷害が認められるものが多数存在していた.従って当手段は,治療効果をより客観的に評価する指標となり得ると考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各抗癌剤が細胞に及ぼす効果は同種類の腫瘍であっても細胞ごとに反応が異なること,抗癌剤の作用機序は従来解明されているもののみでは無いという結果が得られ,個別化治療の重要性が改めて指摘できた.さらに、DNA傷害やアポトーシス細胞の検出を通常の病理組織検体や細胞診検体にも応用した.

今後の研究の推進方策

DNA損傷マーカーγH2AXを用いて,1)婦人科腫瘍に用いられる抗がん剤の作用機序を細胞周期におけるDNA傷害の点から明らかにし、2)個別治療への応用を図るとともに,3)病理切片上での治療効果判定法を確立する。
また、それらのデータをまとめて学会報告・論文化する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 卵巣がんに対する個別化治療の試みと実際2011

    • 著者名/発表者名
      庄子忠宏, 高取恵里子, 杉山徹
    • 雑誌名

      臨床腫瘍プラクティス(ヴァン・メディカル)

      巻: 7 ページ: 42-29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 卵巣癌(上皮性悪性腫瘍)2011

    • 著者名/発表者名
      杉山徹
    • 雑誌名

      外来癌化学療法

      巻: 2 ページ: 92-97

    • 査読あり
  • [学会発表] サイトメトリー的細胞動態解析と臨床病理への応用2011

    • 著者名/発表者名
      黒瀬 顕
    • 学会等名
      第28回北日本病理研究会
    • 発表場所
      弘前市
    • 年月日
      2011-06-10
  • [学会発表] 細胞核DNA傷害を可視化・定量化する.シンポジウム3「細胞診におけるクロマチンの意義」2011

    • 著者名/発表者名
      黒瀬 顕
    • 学会等名
      第52回日本臨床細胞学会総会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2011-05-21
  • [図書] 婦人科がん科学療法ハンドブック2011

    • 著者名/発表者名
      杉山徹
    • 総ページ数
      160-164
    • 出版者
      中外医学社

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公開日: 2013-06-26  

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