研究課題
DNA傷害の定量的な検出法はなく標的細胞でいかにDNA傷害が誘導され細胞増殖抑制が導かれるかの詳細な検討は行われてこなかった.コアヒストン蛋白の構成要素の一つにヒストンH2AX蛋白がある.近年、DNA二本鎖断裂時、断裂部位近傍のヒストンH2AXの139番セリンのリン酸化が生じる事がわかりγH2AXと呼ばれる.一カ所のDNA二本鎖断裂が生じた際にその近傍に数千分子のγH2AXが生じるため、γH2AXの特異抗体を用いればDNA二本鎖断裂部位をドット状に検出できる.γH2AXを蛍光抗体で検出すれば蛍光顕微鏡下にDNA二本鎖断裂部位をドット状に観察することも可能であり、フローサイトメトリーではDNA二本鎖断裂の程度を定量的に測定できる.さらにアポトーシスによる二本鎖断裂においてもγH2AXが生じ、かつその量は抗癌剤等によってもたらされる一次的な二本鎖断裂を遙かに凌ぐ断裂を生じるために、検出されるγH2AXの量的違いとして認識可能である.当該年度、培養腫瘍細胞に抗癌剤を加え、経時的にγH2AXとDNA量をフローサイトメトリーで検出することにより,細胞周期と関連してDNA二本鎖断の判定量的測定およびアポトーシス誘導の測定により抗癌剤効果を調べた.この本研究では婦人科系腫瘍における、本法による抗癌剤作用機序をDNA傷害、アポトーシス誘導、および細胞周期の変化を関連させて検討した.また、子宮頸がん放射線治療後の病理組織検体を用い、DNA傷害として免疫組織学的にγH2AXを検出することによって治療効果を調べた.抗γH2AX抗体を用いた免疫染色では、HE染色所見で放射線効果がみられるものはγH2AXが強く検出された.さらにHE染色で核に明かな異常がない腫瘍細胞にもγH2AXが検出されるものがあった.よってγH2AXの免疫組織学的検出はDNA傷害程度を判定量的に評価できる可能性が示唆された.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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