研究概要 |
【目的】近年、子宮体癌は罹患数・死亡数ともに増加している。子宮体癌に対し、補助化学療法が行われているが、治療成績は不良であり、患者の予後改善に結びつく新たな治療法開発が望まれている。 我々のこれまでの研究により、CHFRがエピジェネティックに発現制御されている癌細胞は、微小管脱重合阻害剤であるタキサン製剤に対し、高い感受性を示すことが示唆された(Banno K, et al.Int J Occol 2007)。そこで、CHFRの発現を特異的にノックダウンし、タキサン製剤感受性を増強させる治療法の確立を目的とした。 【方法】1.CHFRがメチル化により不活化され、タキサン製剤に高い感受性を示す子宮体癌細胞株(SNG-II、HEC-108)を用いて、脱メチル化剤(5-aza-dC)の添加前後でのタキサン製剤感受性変化、および細胞周期の変化を解析する。 2.CHFRを発現し、タキサン製剤に対し抵抗性を示す子宮体癌細胞株(HEC-1B)に対しCHFR siRNAを導入し、各種抗癌剤に対する感受性変化を測定する。 3.HEC-1B細胞をヌードマウス皮下に移植した腫瘍に対し、(1)CHFR siRNAを導入する群、(2)タキサン製剤を導入する群、(3)CHFR siRNA+タキサン製剤を導入する群に分け、腫瘍径を経時的に測定する。 【結果】1.SNG-II、HEC-108において、脱メチル化剤の添加によりタキサン製剤への感受性が大きく低下した。脱メチル化剤およびタキサン製剤を同時投与した場合にのみ、G2M期への著名な細胞集積が認められた。 2.HEC-1Bにおいて、CHFR siRNA導入後にタキサン製剤に対する感受性が増強した。このような変化はタキサン製剤特異的であった。 3.薬剤投与後12日目にてCHFR siRNA+タキサン製剤群は、タキサン製剤単独群に比し、有意に腫瘍の増殖を抑制した(p=0.016)。
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