研究概要 |
【目的】microRNA(miRNA)はnon-coding RNAであり、ヒトにおいて1000種近く同定されている。我々は子宮体癌(類内膜腺癌)においてエピジェネティックな異常メチル化により発現が抑制されているmiRNAを同定し、その癌抑制型miRNAとしての機能を解析することを目的とした。 【方法】ヒト体癌由来細胞株4種(SNG-II,HEC-108,HHUA,Ishikawa)を用い、脱メチル化剤(5-aza,100μM)を添加し、発現が2倍以上増加するmiRNAをAffinmetrix社アレイにて解析した。すべての細胞株において発現が上昇したmiRNAを抽出し、TaqMan PCR法により5-aza添加による発現の上昇を確認した。ICのもとに採取した正常内膜(n=9)と類内膜腺癌部(n=11)における候補miRNAの発現をTaqMan PCR法で解析した。さらに抽出されたmiRNAの標的遺伝子をin silicoで検討した。HEC-108に候補miRNAを遺伝子導入し、標的遺伝子の発現変化、flow cytometryによる細胞周期、colony形成能ならびに遊走能の変化を解析した。 【成績】821種のヒトmiRNAのうち、5-aza添加により4種すべての体癌細胞株で発現が上昇したのはmiR-34bのみであった。miR-34bはCpGアイランド内に位置し、p53により制御されている癌抑制型miRNAであった。臨床検体では体癌検体で有意に発現が低下していた(p<0.01)。miR-34b導入HEC-108では標的遺伝子であるMYCやMETの発現が減少した。コロニー形成能および遊走能は有意に低下し(p<0.05)、GIarrestの細胞割合が増加した。
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