研究概要 |
【目的】miRNAは21~25塩基のnon-coding RNAであり、現在ヒトでも1000以上のmiRNAが報告され、1つのmiRNAが100以上の標的遺伝子の発現を制御していると推測されている。さらに、一部のmiRNAは通常の遺伝子同様エピジェネティックな制御を受けていると推測されている。また、癌の発生組織や分化度によりmiRNAの発現パターンが大きく変化していることが報告され(Lu J, Nature, 2005)、多くの癌治療への応用が期待されている。そこで、子宮体癌の抗癌剤感受性に寄与するmiRNAの同定と創薬への応用を目的とした。 【方法】子宮体癌細胞において、エピジェネティック変異により発現が抑制されているmiRNAと各種抗癌剤感受性との関連を解析する。抗癌剤は、子宮体癌治療のkey drugとされるタキサン製剤やドキソルビシン、シスプラチンを使用する。子宮体癌細胞株に候補miRNAを導入し、その際の抗癌剤感受性の変化を解析する。さらに、in vivoにおけるmiRNAと抗癌剤の併用による抗腫瘍効果の増強を検討する。 【結果】3種の子宮体癌細胞株(HEC-108、HEC-1B、KLE)に対し、段階的に希釈した各種抗癌剤を作用させた。miR-34b添加時および非添加時において、各種抗癌剤に対する感受性の変化を解析した。その結果、パクリタキセルを作用させたときのみ、miR-34b添加により感受性が増強された。 また、子宮体癌細胞株HEC-1Bをヌードマウス皮下に移植した。その皮下腫瘍に対し、①パクリタキセル(20mg/kg)、②パクリタキセル(20mg/kg)+nega-miR(1nmol)、③パクリタキセル(20mg/kg)+miR-34b(1nmol)の③群に分け薬剤投与を行ったところ、③群は他の群に比し有意に腫瘍の増殖が抑制された(p<0.05)。
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