子宮内膜癌の発生機序には、エストロゲン刺激、p53、K-ras等の遺伝子異常に加え、マイクロサテライト不安定性(MSI)も関与し、hMLH1のメチル化・遺伝子変異、hMSH6の遺伝子変異CHFR遺伝子のメチル化hMLH1のpromoter領域のメチル化が抗癌剤感受性に関与していることを報告してきた。 我々はさらに、腫瘍免疫の観点からCox(Cyclooxygenase)-2、FOXP3という制御性T細胞(Treg)特異的マーカー分子、細胞障害性T細胞のマーカーであるCD8の発現などの発現を検索し、Tregの浸潤が多い症例は低分化癌や進行癌で有意に多く予後が不良であること、Treg/CD8比が高い症例では予後が不良であることを見いだし、CD8+T細胞の浸潤が多くても、Tregの浸潤が凌駕する揚合は予後不良である可能性を明らかにした(投稿中)。 妊孕性温存目的の若年体癌症例に対する黄体ホルモン療法は、当院において1998年以降、複雑型異型内膜増殖症(AEH)51例、Ia期が推定される類内膜癌G1例(G1)81例に至り、その病変消失率はG1群91%、AEH群96%、病変消失までの日数の中央値は146日、56日でありG1群で有意に長く、観察期間中央値:G1群1007日、AEH群895日において、MPA初回治療後の2年/5年時再発率はG1群52%/83%、AEH群47%/63%と高値であることを確認した。この数値は今まで諸家より報告されていた数値より高値を示した。当院でのfollow upにおける脱落率が少ないことが本疾患の病態をより正確に把握できたと考えられた。また、29例延べ35回の妊娠が成立し、分娩後の2年/5年時再発率を検索したところ、G1群47%/73%、AEH群(6例)0%/0%でありG1群で高い傾向を認め、この分娩後の再発率は国内外を含め初めて示された(投稿準備中)。
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