研究課題/領域番号 |
22591867
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
進 伸幸 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90206459)
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キーワード | 子宮内膜癌 / 腫瘍免疫 / MMR機構 / ホルモン感受性 / 黄体ホルモン療法 |
研究概要 |
子宮内膜癌の発生機序には、エストロゲン刺激、p53、K-ras等の遺伝子異常に加え、マイクロサテライト不安定性(MSI)も関与し、hMLH1のメチル化・遺伝子変異、hMSH6の遺伝子変異CHFR遺伝子のメチル化hMLH1のpromoter領域のメチル化が抗癌剤感受性に関与していることを報告してきた。 我々はさらに、腫瘍免疫の観点からCox(Cyc1ooxygenase)-2、FOXP3という制御性T細胞(Treg)特異的マーカー分子、細胞障害性T細胞のマーカーであるCD8の発現などの発現を検索し、Tregの浸潤が多い症例は低分化癌や進行癌で有意に多く予後が不良であること、Treg/CD8比が高い症例では予後が不良であることを見いだし、CD8+T細胞の浸潤が多くても、Tregの浸潤が凌駕する場合は予後不良である可能性を明らかにした(Yamagami et a1-Int J Gynecol Cancer 2011)。 妊孕性温存目的の若年体癌症例に対する黄体ホルモン療法は、当院において1998年以降、複雑型異型内膜増殖症(AEH)57例、Ia期が推定される類内膜癌G1例104例、G2例4例に至り、その病変消失率はAEH群97%、G1群89%、G2群100%であり、病変消失までの日数の中央値は56日、157日、249日でありG2群で有意に長く、観察期間中央値1125日の時点において、MPA初回治療後の2年/5年時再発率はAEH群45%/60%、G1群58%/16%、G2群75%/NAと高値であることを確認した。この数値は今まで諸家より報告されていた数値より高値を示した。当院でのfollow upにおける脱落率が少ないことが本疾患の病態をより正確に把握できたと考えられた。また、35例延べ49回の妊娠が成立し、分娩後の2年/5年時再発率を検索したところ、G1群47%/73%、AEH群(6例)0%/0%でありG1群で高い傾向を認め、この分娩後の再発率は国内外を含め初めて示された(投稿準備中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな症例蓄積は予想より早い速度で集積が進んでいる。また腫瘍免疫に関する論文は制御性T細胞に関して1編刊行され、現在さらに1編投稿準備中である。さらに、若年体癌に対する黄体ホルモン療法(MPA治療)の効果の高い症例と、不応性の症例の蓄積も進み、各種の蛋白発現に関する研究もおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究3年目に入り、若年体癌に対する黄体ホルモン療法(MPA療法)の治療効果予測に関する各種蛋白発現の解析結果を学会発表、および論文発表を予定している。また、腫瘍免疫に関するCD8陽性細胞と薬剤感受性に関する論文1編、またMPA療法の治療成績に関する論文数編を投稿準備中である。
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