子宮内膜癌発生には、エストロゲン刺激、p53、K-ras等の遺伝子異常に加え、マイクロサテライト不安定性(MSI)も関与し、hMLH1メチル化・遺伝子変異、hMSH6遺伝子変異CHFR遺伝子のメチル化hMLH1のpromoter領域のメチル化が抗癌剤感受性に関与していることを報告してきた。 我々は、腫瘍免疫の観点からCox(Cyclooxygenase)-2、FOXP3という制御性T細胞(Treg)特異的マーカー分子、細胞障害性 T 細胞のマーカーであるCD8の発現などの発現を検索し、MSI陽性例では腫瘍内浸潤T細胞(iTIL)数が有意に多く、低分化例が多いことを明らかにした(投稿中)。 妊孕性温存目的の若年体癌症例への黄体ホルモン療法は、当院において1998年以降、複雑型異型内膜増殖症(AEH)65例、Ia期が推定される類内膜癌G1例(G1)107例に至り、その病変消失率はG1群90%、AEH群97%、病変消失までの日数の中央値は157日、56日でありG1群で有意に長く、観察期間中央値:G1群1121日、AEH群1230日において、MPA初回治療後の2年/5年時再発率はG1群58%/84%、AEH群45%/60%と高値であることを確認した。この数値は今まで諸家より報告されていた数値より高値を示した。当院でのfollow upにおける脱落率が少ないことが本疾患の病態をより正確に把握できたと考えられた。また、42例延べ61回の妊娠が成立し、分娩後の2年/5年時再発率を検索したところ、G1群48%/69%、AEH群0%/20%でありG1群で高い傾向を認め、この分娩後の再発率は国内外を含め初めて示された。また、治療開始時にパートナーがおらず、早期妊娠を希望しない若年体癌婦人に対しても、MPA療法後にHolmstrom療法を行うことで妊孕能温存が期待できることを初めて確認した。
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