研究課題/領域番号 |
22591872
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
蜂須賀 徹 産業医科大学, 医学部, 教授 (70180891)
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キーワード | 子宮内膜癌 / 卵巣癌 / HMG蛋白 / 薬剤耐性 / mtTFA / BAF57 / GalNAc-T6 |
研究概要 |
平成22年度の研究により、婦人科悪性腫瘍におけるHMG蛋白ファミリーの臨床病理学的検討を加え、BAF57とmtTFAが患者予後と相関関係が指摘できた。 平成23年度はそれらの結果をふまえ、培養細胞では、mtTFAが分子治療の標的であることの妥当性を検討するため、卵巣癌細胞株SKOV3(漿液性腺癌)、RMG1(明細胞癌)を用いて、mtTFA過剰発現株、またはsiRNAを用いた発現抑制株の樹立を試み、それぞれの細胞株の増殖能、生化学的特徴について検討した。さらにアポトーシスなどを含めた腫瘍の病理組織学的形態について検討を行った。これらによりmtTFAは核内にも存在し、抗アポトーシス機能を持つBCL2L1を転写レベルで制御していることが明らかになった。また、卵巣漿液性嚢胞腺癌ではmtTFAは予後不良分子であった。mtTFAは卵巣漿液性嚢胞腺癌の分子標的になると考えられる。これらの研究結果は2011年8月第63回日本産科婦人科学会で学会発表を、2012年2月Cancer Scienceで論文発表を行った(2012,103:239-244)。 また、当大学分子生物学教室にて作成されているHMG蛋白質ファミリーに対する多数の抗体をさらに免疫組織学的検討し婦人科悪性腫瘍における発現態度を検討した。その中でGalNAc-T6蛋白は子宮内膜癌、特に類内膜腺癌においてその発現は浸潤・転移との関連が指摘され(2011年10月第49回日本癌治療学会で発表)、さらに卵巣癌での発現態度についても研究を進めている。 また、p53蛋白質や細胞増殖のマーカーであるKi-67の免疫染色も同様に行いHMG蛋白質ファミリーとの関係を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験結果が、3編の英語論文になっている。また投稿中の論文もある。
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今後の研究の推進方策 |
Mitochondrial transcription factor Aについては前年度を含めて2編がimpactfactorのある英語論文になっている。またBAF57については英語論文としてin pressの状態である。現在1論文を投稿しており、データーが確実に論文化されていると考えられる。今後は化学療法の効果と検討されている構造的転写共役因子との関係に注目して検討を進めていく予定である。
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