研究課題
2006年より毎年我々は岩木健康増進プロジェクト健診へ参加し、多人数の一般住民に対する純音聴力検査を行い、加齢に伴い難聴が進行すること、さらにそれには男女差が見られ、また個人差が見られることが示された。この個人差の原因について現在も調査を進めている。毎年新規の受診者がおりデータが蓄積されてきているため、さらに多人数でのデータ解析が出来るようになっている。これまでに我々は、動脈硬化のパラメーターである脈波伝播速度(PWV)と聴覚との関連性を示し、動脈硬化性病変が進行すると聴力は低下することが示唆されることを学会にて発表した。さらには糖尿病との関連につき、空腹時血糖値及びHbAlc値と聴覚との関連性を検討したが、明らかな関連性は見いだせなかった。これに関しては今後さらに検討を加えていく予定である。さらに骨粗鬆症に着目し、骨密度と聴力との関連性を検討した。女性の高音域の聴力において骨密度の減少に伴う聴力低下が示され、これを学会にて発表した。中耳あるいは内耳における骨密度の減少が聴力の低下につながる可能性もあるものと考えられた。この領域における研究はあまり進んではおらず、今後もデータを積み重ね、さらに女性ホルモン値も検討項目に加え検討していく予定である。遺伝子解析に関しては、遺伝子の関与する先天性難聴のうち約7割が非症候群性難聴であるが、その大多数は劣性遺伝形式を取ることが知られている。劣性遺伝形式をとる非症候群性難聴の約半数の原因遺伝子はGJB2であり、今回はこの雌伝子変異の頻度を算出していくことにした。まだ解析中であり十分な結果は出せていないが、今後は症例数を増やして検討していく。
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