研究課題/領域番号 |
22591873
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
新川 秀一 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90125584)
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研究分担者 |
南場 淳司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50361027)
佐々木 亮 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20451479)
中路 重之 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10192220)
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キーワード | 聴覚障害 / 大規模調査 / アンチエイジング / 動脈硬化 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
2006年より毎年我々は岩木健康増進プロジェクト健診へ参加し、多人数の一般住民に対する純音聴力検査を行い、加齢に伴い難聴が進行すること、さらにそれには男女差が見られ、また個人差が見られることを示した。 これまでに我々は、動脈硬化のパラメーターである脈波伝播速度(PWV)と聴覚との関連性を示し動脈硬化性病変が進行すると聴力は低下することが示唆されることを示した。さらに骨粗鬆症に着目し、骨密度と聴覚との関連性を検討した。女性の高音域の聴力において骨密度の減少に伴う聴力低下が示された。 認知症の精神症状として'うつ'と'アパシー'が高率に認められることから、聴覚と認知機能検査(MMSE)、疫学的うつ病評価尺度(CES-D)やStarkstein's Apathy Scaleとの関連を検討した。難聴の進行に伴いMMSEの低下やApathy Scaleの上昇が認められた。聴力とCES-Dの関連は認めなかった。このことより難聴により周囲からの情報入力の減少やコミュニケーションがとりにくくなることが予想され、それが認知能力の低下や`アパシー'につながることが推測される。このように難聴が認知症の原因の一つとも考えられ、難聴の進行を抑制する、あるいは難聴者に適切な補聴器の装用指導を行うことができれば認知症の予防にもつながるものと考える。 遺伝子解析ではGJB2遺伝子変異の頻度を算出したところ、これまでに解析の終了した597例中では39例(6.53%)で変異が認められた。この39例の聴力検査データを参照比較しキャリアであることを確認した。この結果は日本以外の国々での頻度報告と比較すると高頻度であった。これは地域における傾向であり、今後も症例数を増やして検討していくことを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子解析は1年間の健診受診者900名弱のうrち597名が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
動脈硬化や骨粗鬆症と難聴の関連が示されているが、男女差についてさらに検討を加えてみる。メタボリックシンドローム等との関連性も検討していく。 これまでに抑うつ傾向と難聴の関連性は見いだせなかったが、耳鳴の程度と抑うつ傾向についても検討していく。遺伝子解析ではGJB2遣伝子変異の頻度は高頻度であり、これはこの地域における傾向であり、今後は対象者を増やして検討していく。1年間の健診受診者の未解析分だけではなく、他年度の対象者も解析を行っていく予定である。
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