研究課題/領域番号 |
22591876
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
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研究分担者 |
伊藤 卓 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40401400)
高橋 正時 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (80401355)
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キーワード | 老人性難聴 / 加齢 / マイクロRNA / マウス / 発現解析 |
研究概要 |
microRNA(miRNA)はRISCとの複合体を形成し、複数の特異的なmRNAの翻訳抑制、分解により、発生、分化、増殖、アポトーシスなどを調節するとされている。本研究では、老人性難聴モデルマウスC57BL/6を用い、蝸牛における経時的なmiRNA発現解析を行った。 miRNA発現解析に先立ち、聴性脳幹反応(ABR)と歪成分耳音響放射(DPOAE)を用いてC57BL/6の経時的な聴覚評価を行った。ABRは、8、16、32kHzの短音を音刺激とした。DPOAEは、L1=65dB、L2=55dB、f2/f1=1.2、f2=4-20kHzとし、DPグラムを作成した。ABR検出閾値は、10から12ヵ月の間に急速に上昇し、16ヵ月の時点で完全に反応が認められなくなった。DPレベルは、3ヵ月の時点で軽度の低下を示し、12ヵ月でノイズレベルとなった。これらの結果から、miRNA発現解析を1、10、16ヵ月に施行することとした。マウスを安楽死させた直後に側頭骨を摘出し、RNAlater内で解剖した。実体顕微鏡下で外側の骨迷路を丁寧に除去し、蝸牛外側壁とコルチ器を含む膜迷路のみとした。左右の蝸牛膜迷路をRNAlaterで満たされたマイクロチューブ内に収集し、-20℃で冷凍保存した。1ヵ月齢18匹36耳、10ヵ月齢18匹36耳、16ヵ月齢15匹30耳から、miRNAを含む全RNAを抽出し、Agikent2100バイオアナライザーにて品質チェックを行った。発現解析にはmiRCURY LNA microRNA Arrayを用い、各月齢におけるmiRNAの発現を比較した。 各月齢間で、数種類のmiRNAにおいて発現変化が認められた。今後、C57BL/6の加齢に伴う聴覚変化に特異的なmiRNAとターゲットとなるmRNAの同定を検討することで、老人性難聴の発症機構を明らかにする予定である。
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