研究概要 |
平成24年度にはまず、10週齢CBA/Jマウスを120dBオクターブバンドノイズに暴露した後、暴露前、暴露12時間後、24時間後、14日後に聴性脳幹反応により聴力を検討した。暴露直後(58.112.5 dB SPL, n=8)から12時間後(73.614.4, n=8)にかけて最大となり、24時間後(48.615.7, n=7)には部分的に回復、また14日後(40.013.8, n=6)にも永続的に持続する難聴をみとめた。いずれも暴露前の聴力閾値(20.65.6, n=8)に比べて有意な上昇をみとめた(p<0.01, Kruskal-Wallis and Mann-Whitney U-test)。またMEK1/ERK/p90RSKカスケードのマーカーとしてphospho-p90RSKの発現量が最大となる時間経過(騒音暴露後3時間)、JNK/c-Jun カスケードのマーカーとしてphospho-JNKの発現量が最大となる時間経過(騒音暴露後3時間および48時間)、またphospho-p38MAPKの発現量が最大となる時間経過(騒音暴露後48時間)で免疫染色法により各分子の内耳での発現部位を検討した。phospho-p90RSKは騒音暴露3時間後にらせん靭帯、感覚上皮のコルチ器外有毛細胞、内有毛細胞、支持細胞で発現していた。phospho-JNKは騒音暴露3時間後にらせん靭帯、感覚上皮のコルチ器外有毛細胞、内有毛細胞、支持細胞、らせん神経節で発現していた。また48時間後にはらせん神経節で発現していた。phospho-p38MAPKは暴露48時間後にらせん神経節での発現をみとめた。これらの騒音性難聴におけるMAP kinase活性化の解析結果は、新たな急性感音難聴治療モデルの基礎となるものである。
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