研究概要 |
1 動物(ラット)にて分子生物学的手法を用いて、内リンパ嚢におけるβレセプターの存在をRT-PCR法にて確認した。さらに、現在、laser capture microdissection,RT-PCR,in situ hybridization,免疫組織化学的手法にてサブタイプの種類、存在部位の同定を行っている。 2 イソプロテレノール(カテコールアミンβアゴニスト)が蝸牛においては内耳圧を上昇させることを既に報告してきたが、今回、イソプロテレノールが蝸牛同様に前庭半規管の内耳圧を上昇させることが確認できた。しかしながら、上昇させるタイムコースは蝸牛と同様であったが、上昇の程度は有意に蝸牛より小さいことがわかった。これは臨床上、メニエール病において蝸牛症状が先行する症例が多いことを支持する結果と考えられる。今後、イソプロテレノールによる蝸牛と前庭半規管での内耳圧への影響の差について、さらに詳細に調べていく予定である。 3 電気生理学的手法(パッチクランプ法)を用いて、動物の内リンパ嚢においてβアドレナリン受容体が関与すると考えられるイオン輸送体を調べているところである。 4 メニエール病症例におけるβアドレナリン受容体の塩基遺伝子多型に関する調査は、医学部倫理委員会にその計画書を提出し承認を得たので、現在、症例のピックアップを行い、文書による充分なインフォームドコンセントの上、血液サンプルを収集中である。今後、血液サンプルがある程度集まり次第、各種のβアドレナリン受容体の塩基遺伝子多型を分子生物学的手法を用いて調べていくことにしている。
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