好酸球性中耳炎は気管支喘息に合併する非常に難治な中耳炎である。本研究では、中等症から重症の気管支喘息に対する有効性が証明されている抗IgE抗体であるオマリズマブの好酸球性中耳炎に対する有効性を検討した。これまで、好酸球性中耳炎症例に対してad-on therapyとして抗IgE抗体であるオマリズマブを投与し、非投与の対照群との比較検討を行い、オマリズマブ投与群は対照群に比して、自覚的、他覚的にも有意に症状、所見の改善みるという結果が得られた。平成24年度はオマリズマブ投与群及び対照群において、投与前、投与3カ月後の血中好酸球数、血清IgE値、血清ECP、中耳貯留液中の総IgE値、ECPの定量とその解析を行なった。オマリズマブ投与群では血中好酸球数、貯留液中のECPの値が投与前に比較して減少する傾向が認められた。以上からオマリズマブの投与により中耳内の好酸球性炎症が制御され、臨床効果がもたらされると考えられた。
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