好酸球性中耳炎の貯留液からは高濃度の IgE が検出される。そこで抗 IgE 抗体(omalizumab)の好酸球性中耳炎に対する有効性を検討した。対象は気管支喘息を合併する好酸球性中耳炎17例で、8例に対し omalizumab をこれまでの治療に加え投与した。また9例を対照例とした。効果は質問表による自覚症状スコア、臨床症状スコア、血中と貯留液中の surrogate marker を治療前後で調べた。投与群では1年後に baseline に比較して自覚症状スコア、臨床症状スコアの改善をみた。特に1年以上投与を継続した5例では改善度が良く、貯留液の消失をみた。 また 3 カ月後の血清中の IgE 値は投与群において有意な上昇をみた。骨導閾値の上昇は投与群に比べ対照群で高頻度に認められた。以上から omalizumab は好酸球性中耳炎の臨床症状を軽減し、かつ骨導レベルを保つ結果が得られ、中耳における好酸球性炎症を制御すると考えられた。
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