研究課題
高度難聴小児の言語機能について、補聴器の装用閾値検査、人工内耳の装用閾値検査、語音弁別検査、新版K式発達検査を行い、音声言語優位に経過している小児と、視覚言語優位に経過している小児の群分けを行った。また、平成22年には45例の高度難聴者に新たに人工内耳埋め込み術を施行し、新規データ収集を行った。高度難聴小児の脳機能検査において、課題として負荷する音響・動画コンピュータファイル作成のための準備を行い、映像の試作、評価を行った。被験者の小児がどの程度課題映像を注視しているかの確認が、課題負荷の問題点であり、被験者の視線の記録などについて検討を行っている。また、小児の言語習得と、難聴の影響について文献検索、学会参加により引き続き情報を収集し、適切な脳機能検査実施の資料とした。本研究の対象となる高度難聴小児の病因を確定するために、信州大学と連携して難聴遺伝子検査、カウンセリングを行い、そのうちの2名について映像課題負荷によるFDG-PET検査を行い、GJB2遺伝子変異例では視覚言語刺激で側頭葉の聴覚連合野賦活が見られたのに対し、SLC24A4遺伝子変異例では視覚言語刺激で聴覚連合野賦活が無いことを見出した。これは、高度難聴の病因によって難聴発症経過が異なり、その結果として言語に関連する大脳の神経回路形成、視覚、聴覚の拮抗状況が変化することを示唆している。さらに、先天性CMV感染例による小児高度難聴例の経過も詳細に検討し、その人工内耳装用効果、音声言語認知の良否を左右する因子を評価した。これらの研究成果は平成23年度に論文として公表する。
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