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2011 年度 実績報告書

上気道の難治病態における粘液分泌過多の機序の解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 22591899
研究機関三重大学

研究代表者

竹内 万彦  三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50206942)

研究分担者 石永 一  三重大学, 医学部付属病院, 講師 (50335121)
坂井田 寛  三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30378426)
キーワード好酸球性副鼻腔炎 / ムチン遺伝子 / TGF-α / TNF-α / MUC5AC / マクロライド / デキサメサゾン
研究概要

好酸球性副鼻腔炎は粘〓な粘液を一つの特徴とする難治性副鼻腔炎の一つである。本性においていかなる成長因子やサイトカインが粘液産生に重要であるかを検討した。まず好酸球の産物の一つであるTGF-αの発現を好酸球性副鼻腔炎粘膜を用いて蛍光免疫組織化学により検討した。その結果、非好酸球性副鼻腔炎粘膜と比べて好酸球性副鼻腔炎においてTGF-α蛋白の発現が粘膜下腺組織において増加していることを明らかにした。また、HM3-MUC5AC細胞とA549細胞株を用いて、これらのヒト上皮細胞株ではTGF-αはERKシグナリング経路を用いてTNF-αと相乗的にMUC5ACの発現を亢進させることをルシフェラーゼアッセーにより明らかにした。これらのことからTGF-αが好酸球性副鼻腔炎に発現し粘液分泌過多に深く関連していることが明らかになった。また、粘液分泌過多に対する薬物の動物モデル作成も行った。同種ラットの気管を別のラットの背部に埋め込み、移植された気管内の粘液分泌の様子を観察した。その結果、クラリスロマシシンとデキサメサゾンを4週投与するとLPSで惹起された粘液分泌過多を有意に減少させることができ、このモデルの有用性が証明された。マクロライドは慢性副鼻腔炎の治療に広く用いられているが抗菌活性を持っているため、長期使用により耐性菌が生ずる恐れがある。そこで、抗菌作用をもたない新規エリスロマイシン誘導体の(8R,9S)-8,9-dihydro-6,9-epoxy-8,9-anhydropseudoerythromycin A (EM900)の抗炎症作用についても検討した。その結果、EM900はIL-1βで惹起されたMUC5ACムチン遺伝子の発現亢進を有意に抑制した。この作用はEM900がNF-kB活性化を抑制することによってもたらさせることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TGF-αとTNF-αがムチン産生に関して相乗効果を持つが、これに関わる細胞内シグナル伝達経路を明らかにすることができ、既に論文として発表できた。また、好酸球性副鼻腔炎粘膜および鼻茸においてIgE,特異的IgE,IgA,特異的IgA,,IL-5,ロイコトリエン、TGF-β、TNF-αなどの局在の検討については、TGF-αを除いてやや遅れ気味である。

今後の研究の推進方策

好酸球により産生されるTGF-αは一般にIL-3とIL5により産生亢進がおこり、IL-4により抑制を受けるとされている。好酸球性副鼻腔炎ではIL-3,IL-5が亢進しているのか、その他にもいかなる因子が好酸球からのTGF-αの産生に重要であるのかを明らかにしてゆきたい。また、ムチン産生にTGF-αとTNF-αとが相乗効果をもちその細胞シグナル伝達経路を一部明らかにしたが、詳細においては不明な点も多いのでさらに突き詰めたい。また、治療という側面からいうと、いかなる阻害薬が有効でそれが臨床応用できるかなどを検討してゆきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The role of transforming growth factor-α on mucin overproduction in eosinophilic chronic rhinosinusitis2011

    • 著者名/発表者名
      Ishinaga H, Shah SA, Sakaida H,Takeuchi K
    • 雑誌名

      Pharmacology

      巻: 88 ページ: 302-8

    • DOI

      DOI:10.1159/000333794

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of a novel nonantibiotic macrolide, EM900, on cytokine and mucin gene expression in a human airway epithelial cell line2011

    • 著者名/発表者名
      Otsu K, Ishinaga H, Suzuki S, Sugawara A, Sunazuka T, Omura S, Jono H, Takeuchi K
    • 雑誌名

      Pharmacology

      巻: 88 ページ: 327-32

    • DOI

      10.1159/000334339

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of clarithromycin and dexamethasone on mucus production in is ografted rat trachea2011

    • 著者名/発表者名
      Kitano M, Ishinaga H, Shimizu T, Takeuchi K, Majima Y
    • 雑誌名

      Pharmacology

      巻: 87 ページ: 56-62

    • DOI

      10.1159/000322837

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト気道上皮でのムチン遺伝子発現に対するIL-31の影響2012

    • 著者名/発表者名
      石永一、竹内万彦
    • 学会等名
      第30回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
    • 発表場所
      大津、滋賀県
    • 年月日
      2012-02-17

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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