妊娠20日の妊娠マウスをケタミン、ザイラジンにて麻酔後、胎児を取りだし、胎児を断頭して脳組織を取り除き、嗅裂を含むように鼻粘膜を取り出した。抗生剤を含んだ生理食塩水にて組織を洗浄後、0.25%トリプシンにて組織を37℃にて15分間静置し、細胞を分離させ、骨などの不要組織をナイロンメッシュにて除去した。その後回収した細胞を、EGFなどの成長因子を加えた培養液で継代した。ディッシュに付着する細胞と浮遊する細胞を分離し、浮遊細胞を継代した。浮遊細胞は球状なneuro-sphereを形成し、12ヶ月以上継代することが出来た。これらの細胞からRNAを抽出し、RT-PCRにて神経系マーカーの発現をみると、Musashi1、Nestin、などの神経幹細胞を示唆する遺伝子の発現を認め、組織由来神経幹細胞として今研究に使用した。顔面神経麻痺に対する、組織幹細胞の治癒効果を確認するため、顔面神経モデルマウスに組織幹細胞を投与し、治療効果を確認した。顔面神経麻痺モデルマウスは、愛媛大学にて作成している方法に準じた。顔面神経を露出して、鉗子にて神経をクランプし、顔面神経麻痺モデルマウスを作成した。クランプした顔面神経周囲に継代している組織幹細胞を移植し、顔面神経麻痺の回復期間と麻痺の程度を観察した。その結果、組織幹細胞移植群が非移植群に比較し、有意に回復時間が早く、治癒過程において効果のあることが示唆された。
|