研究概要 |
鼻茸中のIgE抗体産生と好酸球炎症について以下の知見を得た。 1. 慢性副鼻腔炎において、局所ECP量は末梢血中好酸球数と相関(r_s=0.661, p<0.001)していた。つまり末梢血中好酸球数は鼻副鼻腔粘膜への好酸球浸潤の推測因子となりえると考えられた。 2. 好酸球性副鼻腔炎(ECRS),アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)の末梢血中好酸球数と局所ECP量とも、normal,非好酸球性鼻副鼻腔炎(NECRS)と比較し有意に高値を示していた。血清総IgE値は、AFRSにいて他の3群と比較して有意に高値を示していた。ECRSの血清総IgE値は、normal, NECRSとは有意な差は認められなかった。一方局所総IgE量は、AFRS, ECRSの順に高値を示し、他の2群と比較してそれぞれ有意差が認められた。AFRS, ECRSとも局所に好酸球炎症が誘導された病態であるが、AFRSは血清中と局所両方でIgE量が高値を示していたが、ECRSにおいては局所にのみIgE量の有意な上昇が認められた。つまり局所賛成されたIgEが好酸球炎症誘導に関与している可能性が示唆された。 3. 鼻副鼻腔粘膜局所の好酸球炎症(局所ECP量)に浮遊中吸入アレルゲン特異的IgEが関与しているかその相関を比較検討した。全症例での検討で、鼻茸中総IgE量・特異的IgE量(真菌、SEs、ダニ)は有意に鼻茸中ECP量と相関していたが、血清中総/特異的IgE値は相関していなかった。特にAFRSでは局所IgE量とECP量は強い相関を示した。 以上のことより、副鼻腔粘膜局所における真菌,黄色ブドウ球菌エンテロトキシン,ダニ特異的IgEおよび総IgEの産生亢進は、AFRSのみならずECRSにおいても認め、好酸球炎症を誘導している可能性が示唆された。
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