研究課題/領域番号 |
22591909
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安達 一雄 九州大学, 大学病院, 助教 (90380386)
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研究分担者 |
梅崎 俊郎 九州大学, 大学病院, 講師 (80223600)
澤津橋 基弘 九州大学, 大学病院, 助教 (20315203)
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キーワード | 喉頭粘膜感覚 / 中枢投射 / 脳磁図(MEG) / M60 / M100 / 再現性 |
研究概要 |
喉頭粘膜感覚の求心性入力は、一般内臓性入力であり延髄の孤束核に終止するが、その中枢投射については分かっていない。過去に咽頭粘膜刺激を行った研究においては、Penfieldらの体性感覚地図に一致する中心後回外側下部に中枢投射が見られたと報告されているが、喉頭粘膜刺激を行って検討した報告はなく、Penfieldらの原著においても咽頭感覚と喉頭感覚の局在は区別されていない。このような喉頭の感覚低下を生じる病態として、延髄の嚥下中枢とその上位の皮質延髄路を損傷するような脳卒中が重要である。現在までにもさまざまな検討が行われているが、喉頭感覚の客観的な評価は困難であった。近年、時間/空間分解能が高い脳磁図(MEG)による研究がすすみ、口腔咽頭の感覚の評価が国内外で少しずつ始まっている。このMEGは感覚刺激時の脳磁気信号を客観的に評価するうえでもっともすぐれた検査方法であり、本研究によって喉頭の感覚の定量的評価方法を確立するための足掛かりをつけることが可能である。 今年度は脳磁図を用いて喉頭粘膜感覚刺激時の脳活動の特徴と再現性について検討した。結果として、喉頭粘膜の感覚刺激に誘発される脳活動は両側半球において記録され、刺激後60ms(M60)と100ms前後(M100)に頂点を認めた。M60とM100はともに両半球の中心溝外側下部に推定される傾向を認めた。M60については再現性が乏しかったが、M100については全例の左半球において再現性をもって見られた。以上より、再現性や推定精度については課題があったが、今回の方法を用いることで喉頭粘膜のsomatotopyについて一定の知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
旧来得られた脳活動の解析にsingle dipole法を用いていたが、聴覚野の影響を除外できず、再現性のあるデータが得られにくかった。昨年よりとりいれた最小ノルム法(minimum norm estimate : MNE)では、ある時点での脳活動の広がりを見ることが可能となったため、上記のように再現性のあるデータが得られ始めた。
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今後の研究の推進方策 |
問題点として、S/Nが低いことがあげられる。対策として、1、被験者へ実験前にトレーニングを実施する、2、検査中の動きをモニターで確認し、被験者にフィードバックを行う、3、最小ノルム法(MNE)を用いた解析を行う、以上のことを現在実施している。今後はアーチファクトの問題がなく、刺激可能であれば喉頭粘膜の電気刺激時の脳活動を記録しようと考えている。
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